アパレル世界首位のファーストリテイリング

ユニクロを展開するファーストリテイリング(以下ファーストリ)の時価総額が2020年2月16日付初めて10兆8725億円(終値ベース)となりました。ついに、ZARAを手掛けるスペインのインディテックスを超えて、アパレル時価総額で世界一になったのです。

コロナ禍で世界的に在宅勤務が広がるにつれファーストリが強みとする普段着の需要が高まり、昨年2020年の夏以降に株価は急上昇していました。ZARAを時価総額で超えた理由の一つにその店舗が展開する地域の違いがあります。主力のユニクロは2,298店舗(2020年11月末)のうち、新型コロナ禍から早期に回復した中国は791店舗と日本につぐ規模になっています。

出所:ファーストリテイリング決算説明会資料

ZARAは都市封鎖などで店舗の休業があいつぐ欧米が約7割、アジア約2割といいます。アジア地域が日本を含めて9割を超えるユニクロとは大きな違いがあります。日経新聞によれば、年初に柳井会長兼社長は社員に次のようなメッセージを出したといいます。「服の領域で世界1位に手が届く位置にまで来ることができた

時価総額では世界一になったファーストリですが、売上規模や収益性という面ではまだ世界一とは言えない状況です。直近決算の売上高では、インディテックス(2020年1月期)は282億ユーロ(約3兆5000億円)。スウェーデンのH&Mの売上高(2020年11月期)は、1870億クローネ(約2兆3000億円)。ファーストリの2020年8月期売上高は約2兆円と世界3位となっています。それぞれの決算タイミングが異なるものの、インディテックスの規模の大きさは、いまだにファーストリを凌駕しています。

出所:ファーストリテイリング ホームページ

収益性はどうでしょうか。ファーストリの営業利益率(2020年8月期)は7.4%です。これに対して、インディテックスの営業利益率(2020年1月期)は16.9%です。決算のタイミングが異なり、コロナ禍の影響をもろに受けているファーストリは不利だと言う人もいるでしょう。2019年8月期の営業利益率は11.2%でした。また、業績回復を見込む今期(2021年8月期)の営業利益率は11.1%と予想しています。やはりインディテックスの方が優位です。

また、インディテックスが有名なのは、その卓越した在庫管理をはじめとしたサプライチェーンマネジメントです。ZARAはデザイナーが服をデザインしてから世界の店舗に並ぶまで最短で2週間だそうです。生産した商品はいったんスペインの物流拠点に集められ、そこから世界に空輸するのです。ZARAは流行を自らつくろうはしていません。そのときに流行っているファッション性の高いものを作って売り切るというビジネスをしているのです。

アジアに基盤を持つファーストリが中長期的には優位との声があります。ただ、インディテックスは2020年10月に北京市内に旗艦店を立ち上げ、中国の店舗数も467店に上るといいます。アジアの成長を取り込めるのは果たしてファーストリなのか、それともインディテックスなのか。いずれにしても予断を許さない状況です。

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