武田薬品の末路はいかに

武田薬品工業(以下武田)が一般用医薬品(大衆薬)事業の売却を決めました。武田が売却を決めたのは、子会社の武田コンシューマーヘルスケアです。米国投資ファンドのブランクストーン・グループが2,420億円で買収するという発表がありました。

一般的に大衆薬は医療用薬に比べて研究開発費は少ないものの、広告宣伝費や販促費などのマーケティングコストが高く、収益性が低いと言われています。ここ数年はインバウンド需要もあって、19年の国内大衆薬市場は8738億円と5年連続で成長してきました。ところが、今年に入ってコロナの感染拡大でインバウンド需要が減少、さらに国内においては人口減により需要も先細りが予想されます。更なる事業価値価値の低下を嫌って武田のノンコア事業の位置づけであった大衆薬事業を手放す決断したのでしょう。

武田は2019年1月に、約6兆2000億円でアイルランドの製薬大手シャイアーを買収し世界のトップ10の仲間入りを果たしました。買収で武田の足元の有利子負債総額は4兆8000億円に、のれん代は4兆円に膨らんでいます。今後は、買収で膨らんだ有利子負債を圧縮し、医療用医薬品の新薬開発に経営資源を集中するとしています。

こんな武田を株式市場はどう見ているのでしょうか。シャイアー買収の話がでる2018年1月に6644円つけた株価は、下がり続け、現在は3913円(2020年9月11日)です。時価総額は約6兆1100億円と第一三共(約6兆3500億円)、中外製薬(約7兆8600億円)を下回ります。武田の売上は約3兆3000億円。第一三共は約9800億円、中外製薬にいたっては約6900億円です。一方で営業利益率は武田3.1%、第一三共14.1%、中外製薬は30.7%です。それにしても、武田の収益性の低さが際立ちます。

株式市場が武田を評価しないのは、新薬開発が停滞しているからだと言われています。さらにシャイアーの強みであった血友病治療薬「アディノベイト」「アドベイト」に強力なライバルが登場しました。中外製薬の開発した「ヘムライブラ」です。シャイアー買収が結果的に大きな重荷になる可能性が出てきました。

先月、30歳以上の国内営業職を中心に希望退職者の募集が始まりました。一方で、CEOのウェバーは、上場会社の中で最高の報酬約20億円7000万円(2020年3月期)を受け取ります。それも前期より3億円以上増えています。この待遇の差では、シャイアー買収の尻ぬぐいのためのリストラだと受け取られてもしょうがないかも知れません。武田の名を世に広めてきた、まさに武田を象徴する「アリナミン」や「ベンザブロック」というブランドを手放すだけでなく、社員の心までも手放してしまわないか懸念されるところです。

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