パナソニックの社長が交代します。現社長の津賀氏は、悲願だった売上高を10兆円へ拡大する目標は取り下げ、利益重視の経営に転換しました。2016年3月末には、2021年3月期に営業利益を6000億円に増やすという事業方針を発表。ただ、今期業績見込みは売上高6兆5000億円、営業利益は1500億円です。この売上高は30年前とほぼ同じといいます。
出所:「一目でわかるパナソニック」以下同様
津賀体制のもと、巨額赤字の元凶であっただったプラズマテレビ事業から撤退し経営危機を逃れました。しかし、成長のけん引役と期待した自動車関連ビジネスは20年3月期営業損益が466億円の赤字です。直近の20年4~9月期の営業利益は、自動車関連事業もなんとか51億円の黒字を確保したものの、皮肉にもパナソニックの中でも“日陰の存在”であった家電事業が営業利益358億円と全体を下支えしています。
あらためてパナソニックはどのようなビジネスをやっているのか。主要商品のハイライトです。事業が多岐にわたっていることがわかります。
セグメント別の損益(上期)をみると、アプライアンス(AP:いわゆる家電はこのセグメントに入ります)の売上高と営業利益に占める割合が大きいことがわかります。そして、コネクテッドソリューションズ(CNS)とオートモーティブ(AM)の営業赤字が大きく足を引っ張っていることがよくわかります。
足元では、コロナ禍の巣ごもり需要で家電事業は好調でしたが、家電の特需が長く続くとは考えられません。この点が売り切り型ビジネスの限界かも知れません。新社長に就任する楠見氏は、スピード感を持って「選択と集中」を進めるとしています。パナソニックの前途はこの新社長の手腕にかかっていると言えます。今後もパナソニックの動向からは目が離せません。