2023年1月4日付日経新聞で、経営者が選んだ注目銘柄第一弾としてソニーグループが取り上げられていました。昨年12月には、熊本県のソニーグループの半導体工場をアップルのティム・クックCEOが訪問して話題になりました。スマホの高機能化で、ソニーグループの画像センサーはiPhoneにはなくてはならない存在といえます。
世界で40%以上のシェアを持つ画像センサーなど半導体事業は、事業環境が激変する逆風の中でも好調です。2023年3月期の営業利益は2200億円と前期比41%増加の見込みです。これまでソニーグループの業績を牽引してきたゲームの営業利益が前期比△31%減少し、2,250億円の見込みですから、まさに半導体事業の営業利益がゲームに肩を並べるといえます。
ソニーグループの連結営業利益に占める各セグメント別営業利益の割合は、2021年3月期は、音楽18%、ゲーム33%、映画8%といわゆるエンタメで60%弱を占めていました。2023年3月期は、エンタメ合計が占める割合が60%弱と変わらないものの、その構成割合は変化しています(音楽26%、ゲーム22%、映画11%)。ゲーム、映画の営業利益の落ち込みを半導体はもちろんのこと、音楽と金融でカバーしています。その結果、各セグメントの営業利益に占める割合のバランスがかつてよりも良くなってきているように見えます。
過去6年の連結キャッシュフローの推移を見てみましょう。毎年1兆2000億円以上の営業キャッシュフローをコンスタントに稼いでいることがわかります。2019年3月期から2021年3月期までは営業キャッシュフローを上回る投資を行っており、FCFがマイナスになっています。2022年3月期には投資活動が落ち着いたことにより、3年ぶりにFCFが5049億円とプラスに転じています。
ソニーグループは、先日、世界最大のテクノロジー見本市「CES」の開幕に先立って記者会見を開きました。ホンダとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティが開発を進める電気自動車「AFEELA(アフィーラ)」の試作車を公開したのです。次世代自動車の開発競争が激化する中、3年にわたる積極的な投資が営業キャッシュフローに結びつくのは果たしていつなのか、今後のソニーグループの動向から目が離せません。
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