日本を含む主要国では、この20年で現金の利用状況が大きく変化してきました。キャッシュレス決済が急速に普及する一方で、現金は今なお多くの国で重要な支払い手段として根強く残っています。では、現在の各国のキャッシュレス事情はどうなっているのでしょうか。
2022年のデータを見ると、キャッシュレス決済比率には国ごとに大きな差があります。たとえば、韓国は圧倒的な99.0%、次いで中国が83.5%と高水準です。欧米諸国では、オーストラリアが75.9%、英国64.2%、米国56.4%と比較的高い一方、ドイツは23.9%と日本の36.0%よりも低い数値です。
共同通信によれば、日本のキャッシュレス決済比率は、2023年には39.3%とやや上昇したようです。日本政府は2025年までにキャッシュレス比率40%という目標を掲げており、このままの流れであれば達成は現実的でしょう。
キャッシュレス化が進んだ背景には、コロナ禍を契機とした非接触ニーズの高まり、そしてPayPayやRakuten Payといったコード決済サービスの急速な普及があります。スマートフォン一つで完結する便利さは、利用者の裾野を一気に広げました。
かくいう私も、以前は完全な「現金派」でしたが、気がつけばPayPayやクレジットカードで支払うことが日常になっています。しかし今でも、馴染みのお店では現金を使うようにしています。まずは、手渡しの温かさを大切にしたいからです。
また、お金を支払うという行為は、単なる決済ではなく、「価格と価値の交換」です。そして、その交換の瞬間に、提供してくれた商品やサービスの価値に対する自分の感謝や想いを添えることができるのが、モノとしての「現金」の良さではないでしょうか。機械の「ピッ」という音では、そうした感情の機微が薄れてしまうように感じます。
便利さを追い求めるキャッシュレス化の流れは、今後も加速していくことでしょう。でも、だからこそ私たちは「どうお金を使うか」だけでなく、「どう想いを伝えるか」も大切にしていきたいものです。