なぜ起こった投資信託の解約 

2017年5月7日付の日経新聞によれば、個人の代表的な資産運用商品である投資信託がパッタリと売れなくなり、2016年度は14年ぶりに解約と償還額が購入額を上回る資金流出を記録したといいます。

主因は圧倒的な人気を誇った「毎月分配型」の販売を金融機関が自粛したことにあります。先月、日本証券アナリスト協会が都内で開いた資産運用のセミナーで、金融庁の森信親長官が強い口調で投信業界への批判を展開したのです。

「消費者の真の利益を顧みない生産者の論理が横行している。そんなビジネスを続ける社会的な価値があるのか」

長期で資産を形成する投資信託を増やしたい金融庁が売れる商品を売る金融機関に苦言を呈した形となりました。

確かに長期の資産運用における複利効果はバカになりません。ところが運用益を毎月分配してしまえば、複利効果は得られにくくなります。また、世界的な運用難で運用益を十分稼ぐことが出来ず、分配金にそもそも投資家が払い込んだ元本を充当するファンドも多いといいます。

つまり、投資家が受け取る分配金は運用益でもなく、他でもない自分たちが払い込んだ資金である投信さえあるというのです。

問題は金融機関側にばかりあるのでは当然ありません。毎月分配型が最大の売れ筋商品だということなのです。実際の投資家の声は以下のようです。

神奈川県の40代の主婦曰く「分配金は精神安定剤。毎月ちゃんと出ていれば安心できる」
京都市の60代の主婦曰く「投信は基準価額の変動が大きすぎて心配。元本割れしたとしても毎月分配型以外は買わない」

サンプルとしての偏りはあるものの、このような意見は誇張でもなんでもないでしょう。なんと言っても、日本は複利計算が理解できる人は半分にも満たないのですから(理解できる割合は日本が43%、米国は75%)

ご参考:ブログ「金融リテラシー・クイズをやってみよう!

金融機関が顧客のニーズに合った、売りやすい金融商品を売るというのは、言ってみれば当たり前でしょう。もしかしたら、金融庁は、金融機関たるもの売りやすい金融商品を売るだけではなく、長期投資の有用性を顧客に教育啓蒙すべきだと考えているのかもしれません。そうだとしても、顧客の前に投資信託を販売する現場の人たちの金融リテラシーの向上が先になると思います。

大切なことは、私たち日本人の金融リテラシーがないのだということをまずは認識することだと思います。そして、自分の金融リテラシーを向上させる努力をし、必要であれば、自分にとって本当に必要な金融商品を選択できる知識を身につけるべきでしょう。

動画配信開始