ソフトバンクGも、貝殻(シェル)販売

前回のブログでは、米国市場におけるSPAC(特別買収目的会社)上場を取り上げました。2020年7~9月の新規株式公開(IPO)による市場調達額630億ドル(約6兆6000億円)のうち、半分をSPACが占めたのです。2020年10月14日付日経新聞によれば、ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)も、数百億円規模のSPACを米国市場に上場させる予定だといいます。

私はこのニュースを聞いて、ソフトバンクGは、SPACをビジョン・ファンド傘下の投資先企業上場のための受け皿として活用するのかと思いました。しかし、報道によれば、どうやら調達した資金は新規投資のためのようです。考えてみれば、10兆円規模のビジョン・ファンドにしてみれば、受け皿として数百億円規模のSPACでは小さすぎます。

ソフトバンクG関係者は、SPAC導入の背景について、「ユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未公開企業)の一部にSPACを活用したいとの要望がある。投資手段として検討せざるを得なかった」と話しています。

すでに、米国市場ではSPACが乱立している状態です。昨年上場してまだ買収対象企業が見つけられていないSPACは27社あります。今年上場していまだが見つけられていないSPACが124社ありますから、およそ150のSPACが買収対象企業を探し回っているわけです。ちなみに、2018年に上場したSPACは、買収完了までに平均14ヵ月かかっています(出典:Financial Times “Glut of Spac issuance makes hunt for deals more competitive”)

つい先日、民泊仲介大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は、米国の著名投資家ビル・アックマン氏が立ち上げた40億ドル(約4,200億円)のSPACの買収提案を拒否し、伝統的なIPOを選びました。

これから、ますますSPACによる買収企業の獲得競争は過熱するでしょう。SPACは投資家保護のために、IPOしてから買収完了までの期限が通常2年と決められています。また、投資家はSPACから提案された買収対象企業に対して拒否権が与えられます。とはいうものの、上場のための厳格な審査がないため、「裏口上場」と言われるSPACです。SPACに投資する際は十分に注意が必要でしょう。

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