本日の日経新聞に2013年度の1年間に限った時限措置として以下の条件を満たす場合、工作機械や生産ラインへの投資額の3%を法人税額から控除するか、30%分を前倒し償却(特別償却)することを認めるとあります。
条件
年間総投資額が (1)前年度より10%以上増えること
(2)前年度の減価償却費を上回ること
成長企業(ベンチャー企業等)や多額の設備投資を必要とする企業(自動車メーカー等)は2013年度のうちに、将来必要な投資をすれば、メリットは大きいと思われます。但し、どちらの控除を選択するかについては、税金支払い額の時間価値を考慮して選択することに注意が必要です。
減税の対象となる投資額には本社ビルの新設など生産の増加に結び付かない投資は含まれていません。これは、政府としては、企業の国内での生産力向上、競争力向上に結び付けたいものと考えられます。また、海外投資比率の増加による国内産業の空洞化を防ぐ意図もあるようです。
設備投資減税と同時に企業の研究開発減税も拡充するとのことです。今の制度では試験研究費の8~10%を法人税額の20%を上限に納税額から差し引けるが、この上限を2年間の時限措置として30%に引き上げるとあります。
今年度と同じだけ研究開発費を使ったとしても、今の制度より法人税額の10%(最大)が削減できることになりますので、研究開発費が多い企業(医薬品業界等)にとってはメリットが大きいと思われます。研究開発費は将来の競争力、収益力向上につながります。節税できるうちに研究開発費を増やそうという動きになるかもしれません。
設備投資したキャッシュが国内に還流することによる日本全体の景気浮揚効果も期待できそうです。積極的かつ効率的に設備投資・研究開発を行うことで今後V字回復をする企業がでてくることが望まれます。
(オントラックコンサルタント 北川雄一)