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奇跡の経済教室 第1回

国際通貨基金(IMF)は新型コロナウイルスの感染拡大による世界不況をグレート・ロックダウンと名付けました。今回の不況は、2008年からの世界金融危機(グレート・リセッション)を超え、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以来、最悪の景気後退局面となるということです。

今回から数回にわたり、「目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】」の内容を取り上げたいと思います。こんな時期だからこそ、「経済」というものをきちんと考える必要があると思うからです。

著者の中野氏は、先進国の中で日本だけが成長していないのは、政府の経済運営の失敗であると断じています。今回はまずは「デフレとは何か」について考えてみましょう。

デフレ(デフレーション)とは、一定期間にわたって、物価が持続的に下落する現象のことをいいます。一方、インフレ(インフレーション)は物価が持続的に上昇する現象をいいます。なぜ、デフレになるかといえば、それは経済全体の「需要」が「供給」に比べて低い状態が続くからです。つまり、「需要」<「供給」です。

「需要」とは「消費」と「投資」です。デフレとは、言い換えれば、モノが売れない状態です。企業は下手すると赤字になり、労働者は賃金が下がります。すると、労働者の「消費」は減り、企業の「投資」は減ることから、さらに「需要」は下がることになります。

また、デフレはカネの価値が上がるとも言えます。今年10,000円で買った同じモノが来年になれば、値下がりして9,000円で買えるとしたら、どうでしょう。モノに対してカネの価値が上がったと言えます。そんな状況では、人々はモノよりもカネを欲しがるようになります。消費者はモノを買わないでためる。企業は投資せずに現預金をためることになります。デフレでは、「消費」や「投資」がますます減っていくことになります。

さきほど、デフレではカネの価値が上がるといいました。こんな場合、借金は借りた時よりも、返すときの方が実質的に多くなります。したがって、デフレ下では誰も銀行から融資を受けなくなり、むしろ返済を急ぐようになります。デフレ下では融資を伴うような大型の投資や消費が難しくなります。借り手がいなくなることから、金利はどんどん下がり、銀行は稼ぐのが難しくなってきます。こうして、経済成長がストップします。日本が成長しなくなった最大の原因は、ずばりデフレです

インフレはどうでしょうか。インフレは「需要」>「供給」です。モノは売れまくっている状態。企業は供給を拡大すべく、旺盛に「投資」を行います。労働者は賃金が上がっていますので「消費」を増やします。また、インフレはカネの価値が下がっている状態です。人々はカネよりもモノを欲しがります。また、デフレの時とは反対に、借りた時よりも返す時の方が実質的な借金は少なくなります。カネは借りた方が得だということで、消費者はローンを組んで住宅や自動車を購入し、企業は銀行から借りて事業拡大のために「投資」します。

こうして、「消費」と「投資」がさらに拡大し、「需要」>「供給」が続きます。「消費」と「投資」の拡大が続き、「需要」の拡大に合わせて「供給」も拡大します。これが経済成長というものです。したがって、経済成長は、基本的には、インフレを前提としていると言えます。

デフレ脱却のためには「需要」を増やせばいいことがわかります。つまり、「消費」と「投資」を拡大すればいいのです。そうすれば、デフレから脱却し、経済は成長します。ところが簡単に「消費」と「投資」を増やすことができない理由があるのです。次回に続きます。

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