社長ブログ社長ブログ

「CFO思考」こそが企業のパーパスを実現させる

この本の著者が説く「CFO思考」とは「CFOは冷徹な計算と非合理なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべきだ」というものです。これに対して、従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一にすべきだ」というのは「金庫番思考」だと一刀両断します。この本は著者が2015年7月三菱UFJフィナンシャル・グループのCFOとなって初めての海外IRで投資家との面談の模様から始まります。以下、その部分を抜粋しましょう。

「君のオフィスの設定温度は何度だ?」
一瞬、質問の真意がつかめず返答に困った私に対し、そのファンドマネージャーは続けました。

「どうせ「地球にやさしく」なんていう御託を並べて、28℃設定にしてるんだろう。グーグルやアマゾンのオフィスは何度か知っているか? 21℃だぞ。人間は少し寒いくらいのほうが頭が働くんだ」

唖然としている私に彼はたたみかけます。

「君の会社は、日本の最優秀と言われる大学の卒業生のなかから、さらに優秀と言われる学生を採用しているんだろう。そうした若者のアニマルスピリッツを掻き立て、その能力を最大限に活かすことこそが、経営者の役割ではないのか?日本は少子高齢化でこれからどんどん人口が減り人口オーナス(注:人口ボーナスの逆)で経済成長は鈍化する。そうしたなかで君の会社のような企業が、優秀な人材の能力を最大限活かさないでどうする。
有能な人材は経営にとっては資源であり資本だ。「地球にやさしく」なんて言って地球の資源を心配している場合か? 地球に負荷をかけてもいいから、最高の職場環境を準備して、自分の会社の人材に最高のパフォーマンスを出させるべきじゃないのか? このままだと、地球が滅びるはるか手前で日本経済は沈没するぞ」

このファンドマネージャーは日本株の運用を数十年も行ってきた業界では名の知れた人物で、妻は日本人、趣味は京都の寺院の庭巡りという日本通の方です。

その彼が日本の将来を憂えて、安易に平等主義やきれいごとに流れるのではなく、有為な人材には最高の職場環境を用意し、必要な教育・研修の機会を与え、同時にとことん負荷をかけて高い成果やアウトプットを求め、アニマルスピリッツを刺激する処遇制度を用意し、企業価値を高めることが企業経営者の責務ではないか? そうした議論をふっかけてきたわけです。

資本市場の最前線で過去面談したグローバル投資家から、著者が、繰り返し言われてきた言葉とは、「君たち(日本企業、日本の経営者、日本人)には、『アニマルスピリット』はないのか?」というフレーズでした。アニマルスピリットとは「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」のことです。著者は、日本経済や日本企業に「欠落」している最大のものは、技術でも人材でもなく、経営者のアニマルスピリットだと主張しています。

ある会社のCFOが、安全第一でブレーキを踏み続ける「金庫番思考」の持ち主なのか、CEOのアニマルスピリッツを何とか実現させてやりたいと考え、「リスク」と「資本」と「収益」のバランスを十分把握したうえで案件を進められる条件を工夫する 「CFO思考」の持ち主なのかによって、将来の企業価値が変わります。」この言葉は、企業のCFOや将来のCFOを目指す人々にとって重要なメッセージです。本書は、将来、CFOを目指す方は必読といえるでしょう。

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