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商社の躍進:不確実性をどうとらえるか

大手商社で、リアルオプションに関する講義が増えています。これは、これらの企業が従来の口銭(こうせん:手数料のこと)ビジネスから、より高度で複雑な投資型のビジネスへと移行してきたことを反映しています。大手5社は2023年3月期に合計4兆2000億円以上の純利益を達成しました。これはウォーレン・バフェットが大量保有を開始した2021年3月期から見れば、4倍以上に増えていることになります。

特筆すべきは三菱商事で、2年連続の業界首位を維持し、当期純利益が初めて1兆円を突破しました。同社の中西社長は、この好業績について「資源価格の高騰が利益増加の一因だけでなく、資源以外のセクターからの収益性も向上している」と強調しています。伊藤忠商事は繊維ビジネス、三井物産はヘルスケアセクターを強化するなど、各企業は非資源分野での収益力を高める努力を展開しています。

とは言え、2024年3月期については、全社ともに利益の減少を見込んでいます。資源価格の高止まりの終息や新型コロナウイルスによる一時的な需要増の反動がその主な理由とされています。このような状況を背景に、大手商社では、不確実性をどのようにとらえ、それに対してどのように対策を講じるかが重要なテーマとなっています。リスク分析のツールとして、トルネードチャートの活用が求められるケースも増えています。トルネードチャートは、感度分析の結果を直感的に理解しやすい形で視覚化する手法です。下図のように、このチャートは、形状が竜巻(トルネード)に似ていることからその名が付けられました。

トルネードチャートは、感度分析の対象となる変数を一つずつ、取り得る変動幅で動かした結果を横棒グラフで表し、結果の変動幅の大きい順に変数を並べます。これにより、結果(ここではNPV)の上限値と下限値、およびその変動幅の大小の順位が一覧できます。

例えば、上の例では、市場規模の変動幅がNPVに与える影響が一番大きく、反対に変動費、固定費、投資額の影響は小さいことがわかります。これにより、重要な変数に集中することが可能となります。変動費や固定費の予測にリソースを投下するよりも、市場規模や価格の予測に注力した方が良いということになるのです。

なお、変数の変動幅が分からない場合は一定率(±5-10%)を用いるのが一般的です。こういったリスク分析ツールをうまく活用し、脱炭素やデジタル化といった新たな成長領域での持続的な成功を追求することが、今後の商社ビジネスにおける鍵となるでしょう。

このようなリスク分析の手法やリアルオプションについての詳細を知りたい方は、2023年7月29日(土)に開催するセミナー「意思決定のためのファイナンス」にぜひご参加ください。この講座は年1回のみの開催です。今後の経済環境の変化に対応するための知識やツールを身につけることで、より確かなビジネス戦略を立てることができるでしょう。

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