今日は、ビジネスや私たちの人生において大切な「スタートの重要性」について、私の失敗談も交えながら、お話しします。
1. 直感を無視して大失敗した私の過去
私がオントラックを立ち上げる前、独立して仕事を始めたばかりの2005年頃の話です。当時は仕事がほとんどなくて、正直、かなり焦っていました。
そんなとき、ある企業の方から仕事の相談をいただきました。喉から手が出るほど仕事が欲しかった私は、すぐに打合せにむかいました。
ところが、お会いして話を始めた瞬間、その方の表情や話し方、こちらの話への反応、論点がずれることなど、何とも言えない違和感を感じました。うまく言葉にはできませんでしたが、「このまま進めると、少し危ないかもしれない」と直観的に思ったのです。
ところが、当時の私は背に腹は代えられない状態でした。頭の中で「仕事をもらえるんだから、これくらい我慢しよう」と自分に言い聞かせて、プロジェクトを進めることにしてしまいました。
結果は惨敗でした。一緒に仕事を始めたはいいものの、話が噛み合わず、コミュニケーションが取れなくなっていきました。
2. 恋愛もビジネスも、フラれる原因は最初にある
この手痛い経験を後になって思い返したとき、ふと、かつて私のファイナンスの師匠でもある板倉雄一郎さんから直接伺った言葉を思い出しました。
板倉さんはこうおっしゃっていました。
「失敗の原因はスタートにある」
板倉さんは恋愛に例えて説明してくれました。誰かにフラれたとき、私たちは「この間の彼女の誕生日のプレゼントが気に入らなかったのかぁ」「最近は忙しくて、彼女と一緒に外出することができてなかったなぁ」と、直近の出来事に原因を探しがちです。
でも、本当の原因は、実は出会った最初の瞬間の違和感にあることが多い、というのです。
これ、ビジネスでも全く同じことが言えます。
3. 建築の設計図とフロントローディング
プロジェクトマネジメントの世界には、「フロントローディング」という言葉があります。これは、全体のコストや成功確率の大部分は、最初の設計段階で既に決まっている、という考え方です。
家を建てるときをイメージしてみてください。大工さんが釘を打つ段階ではなく、どのような設計図を描くかという最初の段階で、その家が素晴らしいものになるか、欠陥住宅になってしまうかの結果はほぼ決まってしまいます。
ビジネスの契約やプロジェクトも、最初のスタート時点で結果の9割が決まっていると言っても過言ではありません。後からどれだけリカバリーしようとしても、最初のボタンを掛け違えていたら、うまくいくはずがないのです。
4. 自分の感覚に嘘をつかない
結局のところ、一番大切なのは「自分の感覚に嘘をつかないこと」なのだと思います。
違和感を覚えたからと言って、すぐに断る必要はありません。ただ、その違和感に目をつぶってはいけません。
まずは、その違和感がどこからくるのかを言語化してみる。次に相手に質問して、その違和感が単なる自分の思い込みからきていないかを確認する。そして、可能であれば、いきなり大きく始めず、小さく始めてみる。
違和感は、過去の自分の経験からくるリスクサインです。失敗は、終盤で突然起きるのではありません。多くの場合、スタートの時点で、すでに小さなサインとして現れています。
だからこそ、スタートで9割は決まる。最初の違和感に、きちんと耳を傾けたいものです。



