ソフトバンクグループがスプリントとTモバイルUSの合併に合意、国内の通信事業を担っているソフトバンク株式会社の上場を視野へ、ファンド2号を立ち上げを画策などの報道を見て、あなたもこんな疑問を持ったことはないでしょうか。
「ソフトバンクは一体何の会社なのか?」
つまるところ、ソフトバンクグループは通信会社なのか、それとも投資会社なのかということです。これに対して、孫さんは今月の決算説明会で「一般的な言葉に直すと、「戦略的持株会社」になると思う」と答えています。
孫さんは、ソフトバンクグループの未来を300年成長し続ける情報革命の中心的企業群と考えているようです。このための戦略を「群戦略」と呼んでいるのです。
それでは足元のソフトバンクグループの業績はどうなっているのでしょうか。業績のハイライトは、次の通りです。
1. 売上高 9 兆 1,588 億円(前期比 2.9%増)
2. 営業利益 1 兆 3,038 億円(前期比 27.1%増)
増益の要因は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの株式評価益 3,460 億円です。
次に連結キャッシュフローの過去7年の推移をみてみましょう。なんと6年連続でフリーキャッシュフロー(FCF)がマイナスです。直近2年ではARM社やファンドへの出資など、4兆円を超える投資を行っています。一方で、営業キャッシュフローは過去7年間それほど、成長していないことがわかります。むしろ、直近では前年比で減少しています。
もちろん、孫さんでなくても、関係者であれば、投資が本格的に営業キャッシュフローに結びつくには時間かかるというと言うでしょう。3年連続FCFがマイナスは危険信号と言われる中にあって6年連続FCFマイナスというのが成立するのは、なぜかと言えば、資金調達出来ているからです。それはひとえに孫さんの経営者としてのビジョン、投資家としての目利き、経営姿勢への信頼感でしょう。
決算説明会のビデオを観ても、孫さんは本当に経営者としてだけでなく、人間としてとても魅力的な方だと思います。私は、孫さんファンだからこそ、この状況を複雑な思いで見ています。