最近、国際会計基準だとか、IFRSだとか盛んに言われるようになりました。
昨日から、日経新聞の1面で「揺れる企業会計」として連載されています。
ところで、IFRSは何と読むのでしょうか。5~6年前までは、「イファース」とか「イフルス」と読んでいる人が多かったのに、最近では、「アイファース」呼ばれることが多くなったと言います。
最近の発音の変化は、IFRSに対してアメリカ人の興味が高まっていることの表れとも言われています。なぜなら、Iをイギリス人は「イ」と発音することが多く、アメリカ人は「アイ」と発音することが多いからです。
このIFRSを国際会計基準という訳語の通り、理解していたら本質を見誤る可能性があります。
実は、IFRSは、International Financial Reporting Standards の略語です。
直訳すれば、国際財務報告基準なのです。
イギリス人あるいは、IFRSの設定主体であるIASB(International Accounting Standards Board)の原型的イメージは、「従来の会計の枠組みを超えたところ」に新しい財務報告の姿を見出しています。
これに対して、アメリカ人あるいは、米国基準の設定主体であるFASB(Finan-cial Accounting Standards Board)は、これまでの会計の延長線上に新しい財務報告の姿を描いています。
IFRSのそもそもの目的とは、「単一のスケールで世界中の企業を比較すること」です。言い換えれば、財務報告の目的を「投資家への情報提供機能」として限定的にとらえているところに特徴があります。
実は、IFRSの原型的イメージには、損益という概念がありません。じゃあ、どのように投資家は企業の良し悪しを判断するのか。
簡単に言ってしまえば、資産と負債の時価(将来に生み出すキャッシュフローの現在価値の合計)の差額として、企業の価値をとらえるということなのです。
つまり、よりファイナンス的な発想に近いものになっているのです。
また、IFRS導入の背景には、イギリスの原則主義的な考え方とアメリカの規則
主義的な考え方の対立もあるのです。
このあたりの本質的な部分を理解せずして、世の中で盛んに特集が組まれているIFRS導入で何が変わるかなどという個別の議論をしていても意味がないわけです。
会計の専門家でもない私がこんなことを言えるのも実はこの本を読んだおかげなんです。
IFRSに今まで興味がなかった方もビジネスパーソンとして、この本に書かれていることは押さえておくべきではないでしょうか。めちゃくちゃお薦めです。