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セブン&アイ、収益構造の改革求める株主提案受ける

セブン&アイ・ホールディングスが、2023年4月6日に決算を発表しました。営業収益は前期比35%増の11兆8113億円に達しました。この結果は、イオンの8兆7159億円(22年2月期)やファーストリテイリングの2兆3011億円(22年8月期)を大幅に上回り、日本の小売業で初めて10兆円を超えるものです。また、営業利益も前期比30.7%増の5065億円となりました。

特に北米を中心とした海外コンビニエンスストア事業が好調で、その営業利益は前期比81%増の2897億円を記録しました。2021年に買収した米国のスピードウェイとの統合効果や、ガソリン価格の高騰が大きく寄与した結果です。

ただし、セグメント別の分析を行うと、同社の収益構造に偏りが見られます。国内・海外コンビニエンスストア、スーパーストア、百貨店・専門店、金融関連など、合計6つのセグメントが存在しますが、営業利益の大半は国内・海外のコンビニエンスストアからのものであり、イトーヨーカ堂を中心としたスーパーストア事業の営業利益率はわずか0.8%です。また、百貨店・専門店事業は前期の赤字81億円から黒字に転換しましたが、営業利益率は0.7%に留まっています(下図ご参照)

現在、同社は主要株主であるバリューアクト・キャピタルから、コンビニ事業の切り離しを含む株主提案を受けています。バリューアクトが公表した資料を詳細に検討すると、同ファンドの主張にも一理あることがわかります。セブン&アイ・ホールディングスに改革が必要だとする理由を、同ファンドの資料から抽出してみましょう。※以下のスライドはバリューアクト作成の「セブン&アイ・ホールディングス グローバルチャンピオンとしての7-Elevenへの変革 2022年2月」から抜粋

もちろん、セブン&アイ・ホールディングスは静観しているわけではありません。百貨店子会社のそごう・西武を米国のファンドに売却しようとしています。ただ、ファンドと協力するヨドバシホールディングスをはじめとした関係企業との調整が難航しているようです。

セブン&アイ・ホールディングスは、4月中旬にバリューアクトからの「セブン&アイホールディングス 取締役会への株主からの質問 2023年4月2日」に回答する予定です。この資料には、セブンイレブンをスピンオフした場合の価値分析(理論株価)まで記載されています。セブン&アイ・ホールディングスには、「企業価値向上を引き続き図っていく」や「マルチステークホルダーの利益のために引き続き尽力する」といった定性的な言葉に逃げるのではなく、定量的な分析を含んだ回答内容にしてもらいたいものです。

バリューアクトの提案を受け、セブン&アイ・ホールディングスが今後どのような改革を実行していくのか、また、その結果がどのように企業価値に影響するのか、引き続き注目されるでしょう。企業経営において、株主の意見や市場環境の変化を的確に捉え、柔軟な戦略変更が求められます。セブン&アイ・ホールディングスがその課題にどう取り組むかが、今後の成長に大きく影響することでしょう。

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