ブログ「日本の上場企業と投資家の認識のズレ」でも取り上げましたが、生命保険協会が発表した『生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取り組み』調査によると、対象となった上場企業453社のうち28%が「自社の資本コスト(株主資本コスト)を計算していない」と回答しています。
株主資本コストの計算には一般的にCAPM(資本資産評価モデル)が用いられ、このモデルではリスクフリーレート、企業固有のリスクを表すβ(ベータ)、そしてマーケットリスクプレミアムを用います。
以前はBloombergがβを提供していましたが、有料化されたため、私はReutersを紹介していました。しかし、Reutersでもβの情報が見つからなくなりました。このような中で、「資本コスト Cost of Capital」という素晴らしいサイトを見つけました。
このサイトは早稲田大学が運営しているようですが、日本の株式市場の全上場銘柄のヒストリカルβ値を毎週土曜日に更新してくれています。さらに、統計値やアンレバードβなどの情報も提供されており、その推定信頼性も確認できます。さらに業種βまで掲載してくれているのでまさに至れり尽くせりです。
また、従来から私が活用していたIESE Business SchoolのPablo Fernandez教授らのサーベイの最新版「Survey: Market Risk Premium and Risk-Free Rate used for 96 countries in 2024」が発表されたこともお知らせしておきましょう。
出所:Survey: Market Risk Premium and Risk-Free Rate used for 96 countries in 2024からオントラック作成
私は最近まで、2022年のサーベイの結果から、日本のリスクフリーレートは0.5%、マーケットリスクプレミアムは6.0%としてきました。今回の調査結果から、リスクフリーレートは1.0%、マーケットリスクプレミアムは、引き続き、6.0%にしたいと思います
ちなみに、先に言及した「資本コスト Cost of Capital」サイトでは、1952年から2022年までの日本の株式市場のヒストリカルリスクプレミアムの算術平均が7.12%としています。
このように、情報源によって数値は異なります。最終的に意思決定する人が納得する情報源を活用すればいいと思います。あまり神経質にならずに、まずは試しに自社の資本コストを計算してみてはどうかと思います。
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