アップルは、11月2日、2023年9月期の決算を発表しました。プロダクト部門の低迷が響き、4年ぶりに減収減益でした。2023年9月期の通期売上高は前期比3%減の3832億8500万ドル(約57兆6300億円)、営業利益は4%減の1143億100万ドルとなりました。
インフレや買い替えサイクルの延長により、「iPhone」や「Mac」などのスマートフォンやパソコンの需要が低迷したことが原因です。iPhoneの売上は前年比で2%減少し、Macは27%の大幅な減少を記録しました。プロダクト部門の売上は2980億8500万ドルで、6%の減少となりました。
しかし、このプロダクト部門の落ち込みを補ったのが、アプリ販売や音楽・動画配信などのサービス部門です。サービス部門の売上は9%増の852億ドルに達し、全体の売上に占める割合は5年前の14%から22%になりました。特筆すべきは、サービス部門の粗利率が70.8%とがプロダクト部門の粗利率は36.5%と比較して非常に高いことです。このサービス部門の成長は、世界中で稼働する20億台を超えるアップル製品という強力なプラットフォームが支えています。
ただ、楽観視はできません。アップルのアプリ配信サービス「App Store」は、EUのデジタル市場法の適用対象となりました。この法律が2024年春に完全に施行されれば、iPhone上で、サードパーティのアプリストアを許可する必要が生じ、アップルの手数料収入が減少することが予想されるのです。日本でも同様の法整備が進行中で、アップルはセキュリティリスクを理由に反対していますが、その主張が受け入れられるかはまだ不明です。
さらに、米国司法省がグーグルを独占禁止法違反で訴えていることもアップルにとっての懸念材料です。グーグルはアップルと契約を結び、iPhoneの初期設定で自社の検索サービスを使用することで、2021年には約180億ドルを支払っていると考えられています。この訴訟の結果がアップルの収益に影響を与える可能性があります。今後もアップルの動向に注目していきたいと思います。
「毎週、ブログをお届けします!無料のメールマガジンに登録するには、下のフォームにメールアドレスを入力して登録ボタンをクリックしてください。」