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ソフトバンクGが個人を相手にする理由とは

ソフトバンクグループ(SBG)は、国内個人投資家向けの資金調達を積極的に進めています。2023年4月末には、2220億円のハイブリッド債を個人向けに発行しました。ハイブリッド債は、債券と株式の特性を兼ね備え、普通社債に比べて元本や利息の支払い順位が低いことが特徴です。

SBGが発行したこのハイブリッド債の期間は35年間で、5年後に繰り上げ償還が可能です。リスクが高い分、利回りも高く、当初5年間の利率は年4.75%となっています。対象は主に個人投資家で、一部機関投資家も含まれています。また、発行額の半分が資本とみなされる認定を格付け会社から受け、日本格付研究所からはBBB(トリプルB)の格付けを取得しています。

この債券発行の目的は、2017年に欧州・アジアなどの機関投資家向けに発行した米ドル建てハイブリッド債の借り換えです。その債券の残高は20億ドル(約2700億円)で、7月に初回の繰り上げ償還日を迎えます。

日経新聞によると、この債券発行に関して、大手証券会社の担当者は次のようにコメントしています。
「SBGの個人向け社債は、利回りの高さや知名度から毎回引き合いが強い」
「特に、日本国内では金利が長期低迷しているため、個人投資家は高利回りの投資先を求めており、SBGのハイブリッド債はそのニーズに応えられる一つの選択肢となっています。」

しかし、気になるのは、個人投資家はこのハイブリッド債の利回りがリスクに見合ったものと判断して投資しているのかという点です。さらに、初回の繰り上げ償還が見送られ、保有期間が想定以上に長くなるリスクを考慮しているでしょうか。個人投資家の多くは、高利回りに目がくらみ、リスクを十分に考慮せずに投資を行っているのではないでしょうか。

今回のハイブリッド債の借り換えをSBGがプロである機関投資家向けにではなく、個人投資家向けに行うのも、こうした個人投資家のファイナンシャルリテラシーの低さにつけこんでいるのではないかという、うがった見方もしたくなってしまいます。

SBGのハイブリッド債は、高利回りが魅力的である一方でリスクも高いわけです。その点を投資家は十分に理解して投資を行う必要があります。私たちは、リターンだけを見て投資するのではなく、常に「そのリターンはリスクに見合うのか?」という質問を自分自身に投げかける必要があるのです。

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