2014年1月、投資の非課税制度「NISA(ニーサ)」がスタートしました。これは一定の投資元本から生じる売却益や配当金(分配金)が非課税になる制度です。
そして、2024年には「新NISA」が導入される予定です。現行のNISAには「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類がありましたが、新NISAにはどのような特徴があるのでしょうか。
1.非課税期間の延長:
新NISAでは、非課税期間が一般NISAの5年、つみたてNISAの20年から無期限に拡大されます。
2.非課税枠の増加:
非課税枠が現行の一般NISAの600万円(120万円×5年)、つみたてNISAの800万円(40万円×20年)から、大幅に増額された1800万円となります。
3.一般NISAとつみたてNISAの併用:
新NISAでは、これまでできなかった併用が可能になります。これにより、年間最大360万円の投資が可能となります。ただ、成長枠投資の制限は1200万円です。
4.投資枠の再利用:
従来のNISAでは一度売却すると非課税枠が復活することはありませんでした。新NISAは売却した分の金額が翌年の非課税枠として復活します。
投資を始める際、何に投資すべきかは多くの人にとって難問です。ファイナンスのポートフォリオ理論は、合理的な投資家は、マーケットポートフォリオとリスクフリー資産(例: 国債)を組み合わせたポートフォリオを保有すべきと提唱しています。ファイナンスの世界では「何に投資すべきか?」の結論は出ていると言えます。
リスクを全く取りたくないのであれば、国債への全額投資が適切です。一方、リスクを取る意欲がある場合、マーケットポートフォリオが理論上最も効率的な選択です。マーケットポートフォリオとは、理論的には市場の全資産を含むものです。その代替となるものとして、「TOPIX」や「S&P500」などのインデックス(指数)に連動するインデックスファンドが生まれたのです。
実際に、インデックスファンドは運用コストが低いため、長期的な投資に適しています。アクティブファンドも存在しますが、運用コストが高い傾向にあり、実際のところ、インデックスを下回るパフォーマンスのものも多くあることから、長期投資に向いているとは言えません。
ウォーレン・バフェットも、インデックスファンドへの投資を推奨しています。彼は、自分の死後に妻、そして夫婦名義の信託口座に残す財産の資産配分率を質問されてこう答えています。「10%を短期米国債、90%を低コストのS&P500インデックスファンドに投資する。長期的に見ると、この資産配分でいけば、他のどんな投資家(年金ファンドであれ、機関投資家であれ、高い料金を払ってプロにアドバイスを受ける個人投資家であれ)よりも、大きな収益が得られると信じているよ」
新NISAの枠内での投資において、次に述べるインデックスファンドは選択肢になる得るでしょう。なんといっても、購入手数料が無料(ノーロード)なのはもちろんのこと、信託報酬率の低さで注目されています。投資信託の信託報酬の料率は、低くて年率0.1%前後、高くて年率3%くらいです。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の場合、年率(税込)で、0.09372%です。長期投資であればあるほど、この信託報酬料率が運用パフォーマンスに大きな影響を及ぼすのです。
ここでGDPランキング予想を見てみましょう。2050年には日本のGDPランキングは第6位、2075年には12位まで落ち込みます。一方、米国は今後も経済的に強い国として予想されています。また、新興国の成長も見逃せません。2050年や2075年のGDP予測によると、新興国の成長が顕著であることがわかります。これを考慮して、以下の全世界株式(オール・カントリー)に投資することも一つの選択肢と言えます。
ポートフォリオ理論のメッセージは「分散」です。個別株式ではなく、市場全体に分散投資をすることが大切です(だからこそ、インデックスファンドに投資するのです)。さらに時間を分散させることが大切です。私は1800万円の枠をすべてつみたて投資に使うことをお薦めしたいと思います。成長投資枠でもつみたて投資はできますので、インデックスファンドは購入することができます。
「どうな人が投資で一番儲けているか?」その答えは、投資したことを忘れている人と言われています。実際、フィデリティという運用会社が行った2003年から2013年の顧客の運用パフォーマンスの調査では、「運用を忘れた人」のパフォーマンスが最も良かったそうです。
主要なネット証券では、定期買付サービスを提供しています。毎月一定金額を定期的に買い付けるようにして、あとは投資していることを忘れるのが一番です。時は金なりです。すぐにネット証券の口座を開設し、NISA口座を開きましょう。
ちなみに、2023年末までの一般NISA枠120万円またはつみたてNISA枠40万円を使って投資した場合、新NISAにおける非課税保有限度額(1,800万円)には含まれません。そして、今年のうちにNISA口座を開けば2024年開始の新しいNISA口座は自動的に開設されます。お金に余裕がある方は、来年を待たずに現行NISAを使いきることをお薦めします。
一般NISAは120万円と投資枠が大きいものの、非課税期間は5年です。つみたてNISA枠であれば、40万円と金額は少なくなりますが、非課税期間は20年です。いずれにせよ、現行NISAはどちらか一方しか選べません。18歳未満のお子さんがいらっしゃる方は、2023年中にジュニアNISAも検討してみてください。
※追記:ジュニアNISAの開設は2023年9月末で終了しているようです。申し訳ございませんでした。
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