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懲りない銀行

2019/4/20付の日経新聞によれば、未上場のスタートアップ企業と銀行が接近しているといいます。スタートアップ企業は事業リスクが高いことから、従来の資金調達はエクイティファイナンスが主流でした。

ところが、世界的な金融緩和の流れの中で運用難に苦しむ銀行がなんとか成長企業を取り込もうと躍起になっているのがうかがえます。

三菱UFJ銀行はこうした融資を増やす方向にカジを切り、5月には行内の複数部署から数十人を集めて事業への助言など企業を一体で支援できる専門の部署を設けるといいます。

確かに過去の決算書からの財務分析はできるでしょう。しかし、ビジネスそのものの目利きが問われるスタートアップ企業への資金提供など銀行員ができるのでしょうか。

また、スタートアップ企業の場合、立ち上げ当初は赤字が続くことも珍しくはありません。銀行はどこまで資金を投入することに耐えることができるのでしょうか。

エクイティファイナンスの場合、ベンチャーキャピタルは年20%から50%の収益率を要求します。ダウンサイドリスクはあれど、アップサイドのメリットは株主と異なり享受できないのが銀行です。数パーセントの利息では、本来は割りに合わないわけです。ここには経済合理性とかけ離れた銀行の経済活動があるわけです。

地方銀行の生き残りを図る金融庁は、今はこうした流れに目をつぶっているのでしょう。ところがこれからスタートアップ企業の倒産があいつぎ、貸し倒れが発生してくれば、いきなり銀行のスタートアップ企業への融資に待ったをかけるでしょう。

そうなったときに困るのはスタートアップ企業です。スタートアップ企業の経営者は低金利の資金調達ができると考え、デットファイナンスに頼り切るのではなく、こうしたポリティカルリスクも念頭におく必要があるでしょう。

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