CCC改善首位はディスコ

新型コロナウイルスの影響下でも資金効率を高めた製造業はどこか。日経新聞が日経500種平均株価を構成する3月期決算の製造業197社(会計基準変更など除く)を対象に、21年3月期のCCC(Cash Conversion Cycle:キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を1年前と比較しています。CCCは、次のように定義されます。

CCC=売上債権回転期間+棚卸資産(在庫)回転期間-支払債務回転期間

このCCCは、企業が原材料や商品仕入の代金を支払ってから、顧客から現金回収するまでの日数を示し、資金効率を見るための指標です。CCCは短いほど運転資本が少なくてすみ、改善日数はそのままフリーキャッシュフローの増加に寄与します。

改善日数ランキング首位は、コロナ下でも好況が続く半導体製造装置のディスコでした。2021年3月期のCCCは221.1日と前期比で40日の改善です。スマホ向けなど半導体・電子部品の需要が旺盛で、加工する製造装置の出荷が伸びて在庫の回転期間が減少したのが主な要因です。

また、ディスコが「収益認識に関する会計基準」(参考ブログ:売上の計上ルール)を適用し、売上高の計上タイミングを変更したことも売上債権回転期間(回収期間)の減少につながりました。ディスコは売上高計上を出荷時から、顧客に納品やサービス完了の確認を得た時点の検収時に変更しています。確かに、売上高の計上タイミングが遅くなれば、売上債権回転期間は短くなり、その結果、CCCは短くなります。ただ、実質的に資金効率が高まったわけではありません。お客さんからの支払が早くなったわけではないからです。

興味深いのは、売上の計上ルールを変更することによって、実際に営業社員の間で顧客から検収承認をスムーズに得ようという意識が高まったことです。結果として代金回収も早まったのです。確かに営業社員にとってみれば、自分の売上が社内で認められるのが検収時だとなれば、行動を変えざるを得ないのでしょう。かつて私が日産自動車にいたときは、売上の計上タイミングは出荷基準でした。営業社員は売上台数ばかりこだわり、お客様からの現金回収を自分の仕事と思っていなかったことを思い出しました。

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