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店舗・工場の減損見送り

2020年4月3日付日経新聞にこんな記事が掲載されました。

「金融庁や日本公認会計士協会などは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の急減を受け、企業がただちに工場や店舗の資産価値の切り下げを迫られないようにする方針だ。日本の会計基準では資産価値が取得時より大きく下がれば減損処理しなければならないが、企業や監査法人が柔軟に判断できるようにする。会計ルールの適用を弾力化することでコロナに伴う業績悪化を和らげる。」

ちなみに、減損は、企業の工場や店舗などの資産価値が大きく下がったときに、資産の目減り分を損益計算書に特別損失として計上する会計ルールのことです。「損」ですから、最終的な利益を示す当期純利益を押し下げることになります。

「会計ルールの適用を弾力化することでコロナに伴う業績悪化を和らげる」とありますが、会計ルールによって企業の実態が変わるわけではありません。変わるのは見かけの利益です

百歩譲って、世の中には「見かけの利益」で企業の実態を判断する人が多いとしましょう。そうだとしたら、なおさら会計ルールの弾力化などするべきではないでしょう。なぜなら、企業の実態が歪められるからです。その結果、時系列で企業を分析するときの妨げになります。

企業会計原則には「継続性の原則」というものがあります。この原則は次の通りです。「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」

企業が一旦採用した会計ルールは毎期継続して適用しなくてはなりません。もちろん、正当な理由があれば、会計ルールの変更もあり得るとしていますが、このコロナウイルスの感染拡大がその正当な理由に該当するのかは、十分に議論すべきでしょう。

米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、会計基準は分別あるものにすべきと言っています。私のアドバイスはこうです。ルールによって変わる利益ではなく、どんな時もキャッシュフローに注目すべきである。

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