今回は、沖縄のテーマパーク「ジャングリア沖縄」の報道をきっかけに、投資について考えてみたいと思います。
2026年9月29日の共同通信によると、ジャングリア沖縄の運営会社の親会社ジャパンエンターテイメントホールディングスが、2026年6月期に約173億円の最終赤字を計上したとのことです。
なお、沖縄テレビによると、運営子会社の最終赤字は約89億円で、親会社の赤字には子会社株式の評価損などが含まれています。173億円がそのまま現金の流出額を意味するわけではありません。
総事業費は約700億円。新たな出資者を探す方向だとも報じられています。それにしても、これほど大きな赤字を出した企業に、新たにお金を出すスポンサーなどいるのでしょうか。
普通に考えれば、「そんな業績が悪化した事業に、わざわざお金を出す人はいないのではないか」と思うかもしれません。しかし、ファイナンスの視点から見ると、そうとも限りません。
これまでの投資成果を評価するのであれば、投資額に見合うリターンが得られるかが大切です。しかし、ここから先に追加でお金を投じるべきかは、別の問題です。これは、新しいスポンサーだけでなく、すでに投資している人にも当てはまります。
一方、新しく参加するスポンサーにしてみれば、過去の事業費700億円をもう一度かけて、同じ施設をつくるわけではありません。
考えるべきことは、ここから先、どれだけの資金が必要なのか。そして、その資金を投じることで、将来どれだけのフリーキャッシュフローが見込めるのか、ということです。
ここで出てくるのが、「サンクコスト」という考え方です。すでに支払っていて、今となっては、取り戻せない費用のことをいいます。
「これだけお金をかけたのだから、やめられない」というのは、サンクコストにとらわれた判断です。ただ、その逆の「これだけお金をかけてうまくいかなかったのだから、もう投資する価値はない」という見方も、サンクコストにとらわれているといえます。
もちろん、過去に投じたお金がサンクコストだからといって、会社に残る借金が消えるわけではありません。新しいスポンサーは、設備の改善や更新なども織り込んで将来のフリーキャッシュフローを見積もり、既存の借金も踏まえて、いくら出資し、どのような条件なら投資に見合うリターンを得られるかを判断します。
そのため、同じ事業であっても、最初の投資家にとっては厳しい投資となり、次の投資家にとっては魅力的な投資となることがあり得ます。事業が存続することと、最初の投資が報われることは、必ずしも同じではないのです。
ジャングリアに実際にスポンサーが現れるか、どのような条件なら投資が成り立つかは、公開されている情報だけでは判断できません。ただ、「巨額の赤字」という見出しを見て、投資対象としての可能性まで否定してしまうのは早いかもしれません。
過去にいくらのお金を投じたか。そこから視点を移して、これからいくらのお金が必要で、その結果、いくらのお金が生まれるのか。新しいスポンサーが見ているのは、まさにそこなのだと思います。



