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ペッキング・オーダー理論

昨日のブログでは東京電力の資金調達について取り上げました。ついでにペッキング・オーダー理論に関してお話しておきます。

東京電力の株価下落は、この理論からも説明が可能です。ペッキング・オーダー理論とは、資金調達を企業がどのような順番で行うかという理論なんです。 ちなみにペッキング・オーダーとはトリの社会の序列を意味した言葉です。

この理論が言っていることは、企業が資金調達を必要とするときには、内部資金、銀行借入、普通社債、転換社債、普通株式の順番にするというものです。

たとえば、経営者であるあなたが新株を発行して資金調達をしようと考えているとします。あなたの会社の株価は現在1,000円です。ところが最近、経営企画部に算出させた、あなたの会社の理論株価は1,200円です。あなたは、株式発行をとりやめるはずです。

いくら資金が必要だからと言って、1,200円の価値がある株式を1,000円で市場に売り渡すなんてバカげているからです。つまり、市場にあなたの株式が過小評価されていると考えているとしたら、新株の発行はやめるはずなのです。

ところが、市場で1,400円の値がついているとしましょう。あなたは喜んで新株を発行するはずです。本来、1,200円の価値しかない株式を1,400円で購入しようというマヌケな投資家がいれば、あなたは、既存の株主のために1株につき、わけなく200円儲けることができるからです。

この理論の前提にあるのは、情報の非対称性の存在です。つまり、あなたの会社は投資家よりもあなたの方が知っているということです。したがって、あなたの会社が算定した理論株価は市場がつけている株価よりも正しいという前提があるのです。

このとき、投資はこのように考えるはずです。「もし、あなたの会社が株式を発行するなら、株価は割高に違いない。もし、株式ではなく債券を発行するなら、株価は割安(=お買い得)に違いない」

あなたの会社のとるべき戦略は、まずは内部資金でまかなえないかを考えること、次は銀行借入、そのあとは社債発行ということになるわけです。

ということで、「東京電力が株式を発行したのは、自分たちの株価が割高だと考えているからだ」と思った株主もいたのではないでしょうか。

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