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負債は価値を創造しない

昨日のブログに「企業価値と株主価値のどちらを高めればいいのか?」について書きました。

企業価値と株主価値という言葉が混同して使われていることが多いという印象を以前から持っていたからです。

実は、企業によって創造された価値は、すべて株主のものです。なぜなら、有利子負債は、価値を創造しないからです。したがって、企業価値の向上と株主価値の向上とは同義なのです。

有利子負債が価値を創造しないのは、有利子負債が確定利回りを債権者に支払うことを約束しているからです。言い換えれば、債権者は期待通りの利回りを得ることになるので債権者に属する価値(=債権者価値)は創造されないのです。

創造された価値を正味価値とここでは定義してみます。今までの議論は次の式で表すことができます。

企業の正味価値=株主の正味価値

=企業価値-投下資本
=企業価値-(有利子負債+株主資本)
=(企業価値-有利子負債)-株主資本
=株主価値-株主資本
=株主の正味価値

ここで、こんなことを言う人もいるかも知れません。負債にしろ、株主資本にしろ投下資本以上の企業価値が生み出されれば、価値が創造されるのであれば、負債だって価値を創造していることになるのではないか。

まさにおっしゃる通りです。正確に言えば、負債が価値を創造しないのではなく、負債によって調達された投下資本から創造された価値は債権者に分配されず、すべて株主に分配されるということなんです。

債権者は期待通りの利回りを得ることができるかわりに、期待以上の利回りを受け取ることができないという宿命にあるわけです。

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