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骨の髄までしゃぶりつくされる日本企業

2022年11月18日付日経新聞に上場企業の2022年の自社株買いが過去最高になったとあります。11月中旬までに延べ990社が設定した自己株式取得枠は約9兆2100億円になります。3月末決算の東証プライム企業の9月末時点の手元現金は100兆円を超えます。この手元現金を株主に配分していこうという流れが加速しているようです。

自社株買いは株主にとって常に好ましいものでしょうか。結論から言えば、そうではありません。自社株の価格(株価)と価値との関係抜きにしては判断はできません。つまり、自社株も(自社が考える)価値よりも高い株価で行われた場合、株主(=自社株買いに応じない株主)の価値を毀損することになるのです。自社株買いを実施している企業で、自社の価値を算出((In-house Valuation))を実施している企業は果たしてどれくらいあるか疑問です。

さらに問題なのは、今期が最終減益の予想でも自社株買いに踏み切る企業が少なくないことです。10月以降に自社株買いを発表した約190社のうち、通期の純利益予想を開示した175社の4割にあたる66社が減益の見通しというから驚きです。自社株買いは、配当と異なり、企業の業績に応じて、機動的に株主還元ができるのがその特徴のはずです。業績が悪化するとわかっているのに、わざわざ株主還元する必要があるのでしょうか。

ブログ「これが「新しい資本主義」の答えだ!」でも紹介した通り、日本企業の付加価値(粗利)の分配は株主偏重です。外国人投資家の東証上場企業の株式保有率は30%です。単純に考えて、株主還元額の3割が国外に流出していることになります。早稲田大学のスズキトモ教授によれば、欧州のビジネススクールでは、日本の証券市場で海外投資家がやっていることを次のような表現で説明されているそうです。「日本の企業の体力がなくなる前に骨の髄までしゃぶりつくす(“till they suck to the very marrow”)」

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