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ROE3年ぶり上昇で8.3%へ

2017年3月3日付の日経新聞によれば、金融などを除く東証1部上場企業の16年度決算(本決算を未発表の企業は予想ベース)を集計したところ、ROEは前年度より0.5ポイント改善し、8.3%と3年ぶりに上昇する見通しのようです。

果たして、こういった議論は意味があるのでしょうか。結論から言えば、ROEはその高低を議論しても意味がありません。ROEは株主資本コストと比較してこそ、その意味を持つのです。

詳しいことは、過去のブログ「エクイティ・スプレッドとは何か」をご覧ください。

株主資本コストは、株主の要求収益率です。リスクが高い企業に対しては、株主はそれ相応の収益率を要求します。ROEが高い企業というのは、リスクの高い事業を行っている可能性が高いということで、高いからいい、低いからいいというわけではないのです。

したがって、事業リスクの異なる日本企業の全体の平均をとって0.5ポイント高くなったから良かったいう議論はあまりに乱暴です。

日経新聞には、「りそな銀行によると米国企業のROEは12%台だ。リーマン・ショック直前の水準(9%台)にも届かない。」として、まだまだ日本企業の収益性が低いと論じています。

この議論もおかしいことはお分かりになるはずです。繰り返しになりますが、企業それぞれの事業リスクによってROEは異なるからです。

百歩譲って、米国企業と日本企業の収益性を比較するのであれば、リスク調整後の収益性を論じるべきです。詳細については、過去のブログ「日本企業はローリスク!?」をご覧ください。


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