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データセンターの稼働が遅れると、投資価値はどうなるか

11月3日の米中間選挙にあわせて行われたテキサス州知事選で、民主党のジーナ・イノホサ氏が共和党の現職グレッグ・アボット氏に勝利しました。

投資評価の観点から注目したいのが、同州のデータセンター開発です。BloombergNEFによると、同州で送電網への接続を待っているデータセンターの計画は、米国の開発計画全体の約20%にあたります。これは既存施設の数ではなく、今後の開発計画についての数字です。

次期知事のイノホサ氏は、住民を保護する法制度が整うまで、新規データセンターの開発を一時停止するよう求めていました。既存施設をすべて閉鎖するという主張ではありません。

もっとも、開発への制約は、選挙前からすでに始まっていました。8月以降、共和党のアボット知事も、電力や水への影響を確認するため、州当局にデータセンター関連の許認可を段階的に停止するよう指示していました。州の許認可がいつ進むのかが、投資計画に影響するのです。

では、開発や稼働の遅れは、投資の価値をどのように変えるのでしょうか。

以前のブログ「投資の延期の影響」では、投資の開始が遅れてもIRRは変わらない一方、NPVは減少することを説明しました。そこで想定していたのは、初期投資と、その後に得られるキャッシュフローが、すべて同じ期間だけ後ろにずれるケースです。

しかし、データセンターの稼働が遅れたからといって、投資の支払いまで待ってもらえるとは限りません。土地や設備への支出は先に発生し、稼働によって得られるキャッシュフローだけが遅れる場合も考えられます。

今回は、この違いを簡単な数字で確認してみましょう。

仮に、現時点で100を投資し、1年後と2年後に、それぞれ60のキャッシュフローを得られるプロジェクトを考えます。割引率は10%とします。60は売上ではなく、運営費などを差し引いた後のキャッシュフローです。

このプロジェクトのIRRは13.1%、NPVは4.13です。IRRはハードルレートの10%を上回り、NPVもプラスですから、いずれの基準でも投資を実行する条件を満たしています。

まず、初期投資も回収も、すべて1年遅れる場合を考えます。100の投資は1年後になり、60の回収は2年後と3年後になります。

この場合、IRRは13.1%のまま変わりません。投資してからキャッシュフローを得るまでの時間は、元の計画と同じだからです。一方、同じ現時点を基準に計算すると、NPVは4.13から3.76に減少します。これは、元のNPVをさらに1年分、10%で割り引いた値です。

ここで注意したいのは、キャッシュフロー全体がそのまま後ろにずれるだけなら、プラスだったNPVが延期によってマイナスになるわけではない、ということです。金額や割引率が変わらなければ、延期後のNPVは、元のNPVを「1.1の延期年数乗」で割った値になります。プラスの価値は小さくなりますが、符号は変わりません。

では、100の投資は現時点で行い、回収だけが1年遅れた場合はどうでしょうか。1年後のキャッシュフローはゼロとなり、2年後と3年後に、それぞれ60を回収します。

この場合、IRRは7.6%に低下し、NPVはマイナス5.33になります。回収額の合計は120のままですが、支出してから回収するまでの時間が延びることで、投資の採算が変わったのです。

同じ「1年の遅れ」でも、初期投資まで延期できるかどうかで、結果は大きく異なります。前回の例ではIRRは変わりませんでしたが、回収だけが遅れる今回は、IRRにもその影響が表れています。

実際の投資評価では、さらに確認すべきことがあります。

まず、稼働を待っている間に、設備の維持費や工事の追加費用などが発生するかどうかです。今回の例では、こうした追加支出は考慮していません。

また、遅れた分のキャッシュフローを、後からすべて取り戻せるかどうかも重要です。今回の例では、60を受け取る時期がずれるだけで、キャッシュフロー額そのものは変わらないと仮定しました。しかし、契約の終了時期が変わらない場合や、顧客が他社へ移ってしまう場合には、キャッシュフローの金額自体が減る可能性があります。

投資の先行、追加費用の発生、そして収入の増減などは、それぞれ分けて考える必要があります。

テキサス州のニュースを投資評価につなげる際にも、どの計画が対象となり、どの支出や収入が、いつ、いくら変わるのかを確認する必要があります。

その変化をキャッシュフローに反映して、NPVで価値への影響を確かめます。政策や許認可をめぐるニュースも、こうして具体的な投資判断に結びつけることができます。

参考:BloombergNEF/イノホサ氏の政策/テキサス州知事室

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